日本のマジック史をざっくり知る——手妻からTikTokマジシャンまで

TikTokで1,000万人がフォローするマジシャンがいる時代。しかし日本のマジックの物語は、実は1,000年以上前から始まっています。今日は日本のマジック史を「ざっくり」駆け抜けてみましょう。読み終わる頃には、あなたもマジックの見方が少し変わっているはずです。

始まりは奈良時代——「散楽」という魔法

日本の奇術のルーツは、奈良時代に大陸から伝わった「散楽(さんがく)」と言われます。曲芸・幻術・物真似などを含む雑多な芸能で、これが後の猿楽・能・歌舞伎、そして奇術へと枝分かれしていきました。

江戸時代——世界に誇る「手妻」の黄金期

江戸時代、日本独自の奇術「手妻(てづま)」が花開きます。紙で作った蝶を扇であおいで生きているように舞わせる「浮かれの蝶」、大量の水を操る「水芸」——手先の技術と美しい所作、物語性を融合させた手妻は、庶民の娯楽として大人気を博しました。1730年代には既に種明かし本『神仙戯術』が出版されていたというから驚きです。

手妻の歴史をもっと深く知りたい方には、現役の手妻師・藤山新太郎さんの著書『手妻のはなし』がおすすめです(書籍紹介ページで紹介しています)。

明治——世界を魅了した日本人マジシャンたち

幕末から明治にかけて、日本の奇術師たちは海を渡りました。「バタフライトリック(浮かれの蝶)」は欧米の劇場で絶賛され、松旭斎天一(しょうきょくさいてんいち)は西洋奇術と手妻を融合させた大劇場スタイルで一世を風靡。天一の弟子・松旭斎天勝は「世界的スター」として国内外で活躍しました。

昭和〜平成——テレビがマジックを変えた

戦後、マジックの主戦場はテレビへ。引田天功の脱出イリュージョン、初代・二代目プリンセス天功、そして1989年、Mr.マリックの「超魔術」ブームが日本中を席巻します。「ハンドパワー」「きてます」は流行語になり、マジック用品が飛ぶように売れました。2000年代にはセロが「マジック革命」を起こし、ストリートマジックブームが到来。ふだんの街角が劇場になりました。

令和——SNSがマジックを「1分の魔法」にした

そして現在。マジックの最前線はYouTube・TikTokです。Buzz Magician ShinのiPadマジックは文化庁メディア芸術祭で受賞し、TikTokフォロワーは1,000万人超。KENTOら「マジシャン系インフルエンサー」は月間1億回再生を叩き出します。1,000年前に大陸から渡ってきた幻術は、いまスマホの画面の中で、史上最大の観客を魅了しているのです。

歴史を知ると、マジックはもっと面白い

当サイトのマジック知識検定では、こうしたマジックの歴史・人物・技法の知識を5級から1級まで楽しく腕試しできます。あなたは何級レベルか、ぜひ挑戦してみてください。